テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、肘の外側に痛みを生じる代表的な腱障害です。スポーツ愛好家だけでなく、パソコン作業や家事、介護、工具を使う仕事など、日常生活のさまざまな場面で発症します。
「そのうち治るだろう」と我慢しているうちに慢性化し、数か月から数年にわたって痛みが続く患者さんも少なくありません。
近年、保存治療の選択肢として体外衝撃波治療(ESWT)が注目されていますが、「本当に効果があるのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
今回は2026年に発表された最新のシステマティックレビューをもとに、テニス肘に対する体外衝撃波治療の有効性について解説します。

テニス肘とはどのような病気か
テニス肘は、手首を反らせたり物を握ったりする際に働く前腕伸筋群の腱に生じる慢性的な障害です。
特に短橈側手根伸筋(ECRB)という腱に負担が集中しやすく、繰り返される微細な損傷によって変性が進行すると考えられています。
主な症状は以下の通りです。
・肘の外側の痛み
・ペットボトルのふたが開けにくい
・フライパンややかんを持つと痛い
・タオルを絞ると痛い
・握力低下
発症年齢は35~55歳に多く、女性や喫煙者、糖尿病患者、反復作業を行う方で発症リスクが高いことが知られています。

体外衝撃波治療(ESWT)とは
体外衝撃波治療は、特殊な音響エネルギーを患部へ照射することで、組織修復を促進する治療法です。
現在では足底腱膜炎やアキレス腱炎、石灰沈着性腱板炎など様々な腱障害に利用されています。
テニス肘に対する作用としては、
・痛みを伝える神経受容体の抑制
・炎症性サイトカインの減少
・血管新生の促進
・コラーゲン産生の促進
などが考えられています。
切らずに治療できる低侵襲な方法であり、副作用も比較的少ないことから世界中で広く使用されています。

今回の研究では何を調べたのか
今回のレビューでは、テニス肘に対する体外衝撃波治療の有効性を検証したランダム化比較試験(RCT)11件が解析されました。
比較対象は
・偽の衝撃波治療(プラセボ)
・一般的な理学療法
でした。
評価項目として、
・痛み(VAS)
・握力
・DASHスコア
・PRTEEスコア
などが用いられています。
研究結果
結論から言うと、体外衝撃波治療の有効性については一定の効果を示した研究と効果を認めなかった研究が混在していました。
11本のRCTのうち4本では有効性が示されました。
特にAldajahらの研究では、
痛みの改善
握力の改善
上肢機能の改善
が認められました。
一方で、
・痛み
・握力
・機能評価
においてプラセボ治療との差を認めなかった研究も多数存在しました。
著者らは最終的に、
「体外衝撃波治療単独の有効性については結論が出ていない」
と述べています。
なぜ研究結果がバラバラなのか
今回のレビューでは研究ごとに大きな違いがあることが指摘されています。
例えば、
・衝撃波のエネルギー量
・治療回数
・照射頻度
・症状の期間
・患者背景
が大きく異なっていました。
また、多くの研究でリハビリテーションの内容が十分ではありませんでした。
本来、腱障害の治療で最も重要なのは適切な運動療法です。
しかし比較対象となった理学療法の中には、
・アイスマッサージのみ
・超音波治療中心
・短期間の自主トレーニング
など、現在推奨される十分な腱トレーニングとは言い難い内容も含まれていました。
そのため著者らは、
体外衝撃波治療は単独治療ではなく、運動療法の補助として用いるべきである
と結論づけています。
近年の腱障害研究では、
「腱を適切に鍛えること」
が治療の中心であることが明らかになっています。
テニス肘も例外ではありません。
安静だけでは治りません。
痛みの程度を評価しながら、
・ストレッチ
・筋力トレーニング
・動作指導
を組み合わせて腱の修復を促すことが重要です。
体外衝撃波治療は、その過程を後押しする補助治療として期待されています。
はせがわ整形外科運動器エコークリニックのテニス肘治療
当院ではテニス肘に対して単なる湿布や注射だけではなく、原因に応じた治療戦略を提案しています。
まず運動器エコーを用いて、
・腱の変性の程度
・部分断裂の有無
・血流増加の有無
・周囲神経障害の有無
を評価します。
そのうえで、
リハビリテーション
体外衝撃波治療
エコーガイド下注射
PRP治療
Tenex治療
などを組み合わせて治療を行います。
特に慢性化した難治性テニス肘では、エコーを活用した精密診断が非常に重要です。
当院で導入しているTenex治療は、変性した腱組織のみを除去する低侵襲治療であり、手術と保存治療の中間的な選択肢として注目されています。
詳しくは当院ホームページをご覧ください。

まとめ
今回の最新システマティックレビューでは、体外衝撃波治療がテニス肘に有効である可能性は示されたものの、単独治療としての明確な優位性は証明されませんでした。
しかし、
適切なリハビリテーションと組み合わせることで治療効果を高められる可能性がある
ことが示唆されています。
テニス肘は我慢していても長期化することがあります。
慢性化すると仕事やスポーツだけでなく日常生活にも大きな影響を与えます。
テニス肘は治療できる病気です。
湿布や安静だけで改善しない場合は、早めに専門医へ相談することをおすすめします。
はせがわ整形外科運動器エコークリニックでは、手外科専門医が運動器エコーを用いた精密診断を行い、リハビリテーション、体外衝撃波治療、Tenex治療を含めた幅広い選択肢から患者さん一人ひとりに最適な治療をご提案しています。
肘の痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。











