これまで論文解説を中心にブログ記事をお届けしていましたが、今回はエッセー形式のブログ記事です。写真はNewclip社のKemisという手術器具です。

手外科専門医として世界の最先端を地域にお届けする身として、常に最新の論文をチェックしています。せっかくなのでチェックした内容をアウトプットするためにグログ記事でまとめてきました。
しかし、今回は自分のこれまでの経験と、これからの展望(野望)のようなものをシェアしたいと思います。
コロナ禍でのフランス留学
私は、フランスのトゥーロンで日仏整形外科学会の交換研修医として過ごす機会がありました。当時の奈良医大主任教授だった田中康仁先生にも快く送り出していただき、トゥーロンのルバドー教授のもとで過ごすことができました。日本文化にも造詣が深く人格者の教授のもとで過ごした日々は私の人生で最も美しい日々でした。

私が過ごした時期はCOVID-19の真っ只中でしたが、当初の混乱から少し落ち着きを取り戻しつつある状態でした。私が到着した日にスタッフのおばあさんがCOVID-19で亡くなったり、衛生パスというコロナ対策の施策に対するデモがフランス中で行われているような時期でした。幸いにも手術場は正常に稼働していましたが、私が到着するまで手術室にも制限があり手外科手術ができない状態が続いていたそうです。
日本でもそうでしたが、コロナ禍では不要不急の手術は延期または中止という処置が取られてきました。「不要不急の手術なんてあるんかいな?」というのが本音ですが、役所から名指しで「手根管開放術などは延期」と手外科手術は「不要不急」とレッテルを貼られていたのが今でも忘れられません。

手術場のスタッフと院長
フランスでも同じ状態だったらしく、「手術場が使えないなら外来診察室でオペをしよう」と発想を切り替えて対応していたようです。
フランスの手外科診療のカタチ
フランスでは手外科専門医がオフィスを構えて外来診療をして、手術は近隣の病院と契約して、その病院で行うというスタイルが主流です。

私が留学していたルバドー教授のオフィスです。旧市街のど真ん中にオフィスがあり、デスクとエコーが置かれているスッキリとしたスペースでした。

窓からは南仏トゥーロンの美しい街並みが見えます。
Office Surgery
このような環境で、ばね指や手根管など侵襲の少ない手術が局所麻酔で診察室で行われていたようです。「手術は手術室で行われるもの」という既成概念から解き放たれて「Office Surgery(診察室での手術)」という新しい概念がコロナ禍の混乱の中で人々を救ったのでした。
Office Surgeryには
- 局所麻酔(部分麻酔)で行われる
- 手術時間が短い
- 侵襲が少ない
という条件が必要ですが、手外科手術との親和性が非常に高いのです。
さらに、エコーを組み合わせることで安全で確実な局所麻酔(部分麻酔)が可能となり、エコーガイド下手術の専用器具があればより身体への負担が少ない治療が可能となります。
当院ではすでにエコーガイド下のばね指手術を行っていますが、(リンク:エコーガイド下腱鞘切開 )
冒頭のKemisという手術器具を使えばエコーガイド下の手根管開放、肘部感開放なども可能となります。このKemisは槍のような器具でシンプルですが、単回使用で清潔処理されたパッケージでクリニックに届くので滅菌装置もいりません。このKemisが日本でも導入されればOffice Surgeryがさらに広がり、手外科手術を受ける患者さんの負担が少なくなり、手外科手術が一気に身近なものとなります。

当院のこれから
既成概念を打ち破り、あらたな手外科診療のカタチを模索するはせがわ整形外科運動器エコークリニックです。こういった取り組みは、院長のフランスでの経験が原点なのです。私たちは、新たなデバイスとともに常に手外科のFrontière (フロンティア:最前線)で戦います!その最前線の成果を地域に還元します。それが私たち、はせがわ整形外科運動器エコークリニックの使命です!!
リンク:はせがわ整形外科運動器エコークリニックが選ばれる3つのポイント
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- Office Surgery, エッセー, フランス





