足底腱膜炎(Plantar Fasciitis)は、かかとの痛みを引き起こす代表的な足部疾患であり、特に慢性化した症例では日常生活やスポーツ活動に大きな支障をきたします。近年、保存療法で改善しない難治性の足底腱膜炎に対して、Tenex(超音波ガイド下穿刺性腱膜切開術)が注目されています。

本記事では、複数の臨床研究・システマティックレビューを基に、Tenexの有効性・安全性を総合的に解説します。
Tenexとは何か|低侵襲で組織選択的な治療法
Tenexは、超音波ガイド下で変性した腱膜組織を選択的に除去する低侵襲手技です。切開は極めて小さく、局所麻酔下で実施可能なため、従来の手術よりも回復が早い点が特徴です。

1. Tenexの有効性|痛みと機能の大幅改善が報告
複数の研究で、Tenex後の疼痛軽減と機能改善が一貫して示されています。
Patel(2015)の前向きケースシリーズ
対象:足底腱膜炎患者12例
AOFASスコア:術前30.1 → 術後3か月88.1
12例中11例が3か月で完全な疼痛消失
効果は12か月後も持続
合併症なし
難治性足底腱膜炎に対してTenexが高い治療効果を持つことを示す代表的なデータです。
2. Tenexの安全性|合併症は極めて少ない
Tenexは低侵襲であり、複数の研究で有害事象がほとんど報告されていません。
Patel(2015):合併症ゼロ
他のシステマティックレビューでも重篤な合併症の報告は極めて少ない
安全性の高さは、外来で実施できる治療として大きな利点です。
3. 他腱病変研究からの補助的エビデンス
Tenexは足底腱膜炎だけでなく、他の腱障害でも有効性が報告されています。
Maag(2024)・Vajapey(2020)のシステマティックレビュー
難治性腱障害全般で疼痛・機能・QOLが改善
足底腱膜炎でも改善効果が確認
合併症は非常に少ない
複数部位で一貫した効果が示されている点は、Tenexの治療メカニズムの汎用性を裏付けます。
4. 現時点のエビデンスの限界
Tenexは有望な治療法ですが、以下の課題も指摘されています。
症例数が少ない
多くが非ランダム化研究(ケースシリーズ・後ろ向き研究)
対照群がない研究が多く、バイアスリスクが高い
長期追跡データが不足
今後は、ランダム化比較試験(RCT)による高品質エビデンスの蓄積が求められます。
総括|Tenexは難治性足底腱膜炎に対する有望な低侵襲治療
現時点の臨床研究を総合すると、Tenexは以下の特徴を持つ治療法と評価できます。
保存療法が無効な足底腱膜炎に対して高い改善効果
術後早期から1年まで効果が持続
合併症が極めて少ない
一方で、エビデンスの質はまだ十分とは言えず、今後の大規模研究が必要です。 難治性足底腱膜炎に悩む患者にとって、Tenexは検討に値する治療オプションの一つと言えるでしょう。
参考文献
Maag R, et al. Effectiveness of Percutaneous Needle Tenotomy for Tendinopathies: A Systematic Review. Sports Health. 2024.
Vajapey S, et al. Utility of Percutaneous Ultrasonic Tenotomy for Tendinopathies: A Systematic Review. Sports Health. 2020.





