母指CM関節症(母指の付け根にある手根中手関節症)は、手の機能に大きな影響を与える疾患であり、整形外科領域で頻繁に問題となります。その進行度を評価するために最も広く用いられているのがEaton分類です。本記事では、Eaton分類の概要とその問題点、さらに臨床応用における工夫について解説します。
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Eaton分類とは
Eaton分類は、母指CM関節症の進行度をX線画像(レントゲン)で評価するための分類法です。1973年にEatonとLittlerによって提唱され、現在も標準的な評価法として使用されています。
各ステージの特徴
Stage 1 関節裂隙が正常からやや開大。滑膜増生を反映する初期所見。
Stage 2 関節裂隙の軽度狭小化と2mm未満の骨棘形成。
Stage 3 関節裂隙狭小化がさらに進行し、2mm以上の骨棘を伴う。
Stage 4 Stage 3に加え、STT関節(舟状骨-大菱形骨-小菱形骨関節)に退行性変化が及ぶ。
このように、Eaton分類は関節裂隙の変化と骨棘形成を基準に進行度を評価します。
Eaton分類の問題点
Eaton分類は広く用いられている一方で、以下の課題が指摘されています。
検者間信頼性が低い 評価者によって診断結果が異なる可能性がある。
臨床症状や術中所見との一致率が低い 患者の痛みや機能障害の程度と、X線所見が必ずしも一致しない。
Bergerらのシステマティックレビューでは、Eaton分類の検者間信頼性はκ=0.11~0.56(低~中等度)と報告されています。これは診断の一貫性に課題があることを示しています。
信頼性向上の工夫
近年、Eaton分類の信頼性を高めるための撮影法が提案されています。
Bett’s撮影やRobert撮影の追加 正面像・側面像だけでなく、これらの撮影法を組み合わせることで信頼性が向上し、κ=0.61と報告されています。
動態撮影の活用 我々の臨床では、関節亜脱臼の程度を評価するために動態撮影を追加しています。これにより、静止画像では捉えにくい関節の不安定性を把握できます。
まとめ
Eaton分類は母指CM関節症の進行度を評価するための標準的な方法ですが、検者間信頼性や臨床症状との乖離といった問題点があります。より正確な診断と治療方針決定のためには、補助的な撮影法や動態評価を組み合わせることが重要です。今後も臨床現場では、Eaton分類を基盤としつつ、より多角的な評価法の導入が求められます。
母指CM関節症は治せる病気です。我慢せずに早めに手外科専門医を受診しましょう。当院では手術対応も手術以外の治療法もすべて行っております。はせがわ整形外科運動器エコークリニックでは「平野区の手外科」として、手外科専門医による総合的な診察と本格的なリハビリテーションを受けられます。
引用文献
- Eaton RG, Littler JW. Ligament reconstruction for the painful thumb carpometacarpal joint. J Bone Joint Surg Am. 55(8):1655-66, 1973.
- Berger AJ, Momeni A, Ladd AL. Intra- and interobserver reliability of the Eaton classification for trapeziometacarpal arthritis: a systematic review. Clin Orthop Relat Res. 472(4):1155-9, 2014.
- Hoffler CE 2nd, Matzon JL, Lutsky KF, et al. Radiographic Stage Does Not Correlate With Symptom Severity in Thumb Basilar Joint Osteoarthritis. J Am Acad Orthop Surg. 23(12):778-82, 2015.
- Badia A. Trapeziometacarpal arthroscopy: a classification and treatment algorithm. Hand Clin. 22(2):153-63, 2006. [v] Dela Rosa TL, Vance MC, Stern PJ. Radiographic optimization of the Eaton classification. J Hand Surg Br. 29(2):173-7, 2004.

