膝の痛みで悩んでいる方にとって、「PRP治療」は近年注目されている選択肢の一つです。しかし、本当に効果があるのか、どのような患者さんに適しているのかを正しく理解している方は多くありません。

 

 

urugesan T, Mohankumar M, Guna Surya PSV. Clinical and Functional Outcomes Following Intra-articular Platelet-Rich Plasma Injection for Knee Osteoarthritis: A Prospective Cohort Study. Cureus. 2025 Oct 24;17(10):e95297.

 

 

本記事では、最新の前向き臨床研究をもとに、PRP治療の効果と適応について詳しく解説します。

 

 

PRP治療とは何か

PRP(Platelet-Rich Plasma)は、自分自身の血液から血小板を高濃度に抽出したものです。血小板には成長因子が豊富に含まれており、

・炎症を抑える
・組織修復を促進する
・軟骨の環境を改善する

といった作用があります。

単なる対症療法ではなく、「回復力そのものを高める治療」である点が最大の特徴です。

 

 

論文の概要

今回の研究は、膝の変形性関節症(初期)に対するPRP注射の効果を検討した前向き研究です。

・対象:113名
・病期:Kellgren-Lawrence分類 グレード1〜2
・治療:PRP関節内注射(1回)
・評価期間:24週間

評価項目は以下です。

・痛み(VAS)
・機能(WOMACスコア)

 

 

PRPの効果:痛みは明らかに改善する

結果として、

すべての時点で痛みは有意に改善(p < 0.001)

という明確な結果が得られました。

VASスコアは

・治療前:5.87
・24週後:2.85

まで低下しています。

これは、患者さんの実感としても「明らかに楽になる」レベルの改善です。

 

 

機能改善も持続的に認める

痛みだけでなく、関節機能も改善しています。

WOMACスコアは

・治療前:32.81
・24週後:24.89

まで低下し、約8ポイント以上の改善が確認されました。

さらに重要なのは、

6週→12週→24週と、時間とともに改善が持続している点です。

これはPRPの特徴である「遅れて効いて長く効く」性質を示しています。

 

 

軽症ほど効果が高い

この研究で非常に重要なポイントがあります。

グレード1(軽症)の方が、グレード2より明らかに効果が高い

例えば24週時点でのVASは

・グレード1:2.56
・グレード2:3.06

となっています。

つまり、

PRPは「早期に使うほど効果が高い治療」であることが明確に示されています。

 

 

年齢も重要な因子

さらに解析では、

・若い患者ほど改善が大きい
・年齢が高いほど効果が弱い

という相関も示されています。

「早期・若年・軽症」がPRP成功の鍵です。

 

 

なぜPRPは効くのか

PRPには以下の成長因子が含まれています。

・PDGF(血小板由来成長因子)
・TGF-β
・VEGF
・IGF-1

これらが作用し、

・炎症抑制
・血流改善
・軟骨環境の改善

を引き起こします。

その結果、

痛みを抑えるだけでなく、関節の状態そのものを改善する可能性があります。

 

 

他の治療との違い

従来の治療には限界があります。

・痛み止め:一時的
・ヒアルロン酸:効果に個人差
・ステロイド:回数制限あり

これに対してPRPは

「自分の治癒力を利用する治療」

であり、長期的な改善が期待できます。

 

 

この論文から分かる結論

本研究から言える重要なポイントは以下です。

PRPは初期の膝関節症に対して、痛みと機能の両方を有意に改善する

さらに、

その効果は6ヶ月以上持続する可能性がある

という点です。

 

 

ただし重要な注意点

論文でも指摘されている通り、

・PRPの作成方法
・濃度
・注射技術

にはばらつきがあります。

つまり、

「どこで受けても同じ結果になるわけではない」

ということです。

 

 

手の疾患におけるPRPの重要性

今回の研究は膝ですが、PRPは手の疾患にも非常に有効です。

特に

・母指CM関節症
・腱鞘炎
・TFCC損傷
・原因不明の手関節痛

に対して、

手術を回避できる可能性がある治療として注目されています。

 

 

はせがわ整形外科運動器エコークリニックの特徴

PRP治療で最も重要なのは

**「正確な診断」と「正確な注射」**です。

はせがわ整形外科運動器エコークリニックでは

・高精度エコーによる評価
・病変部へのピンポイント注射
・解剖学に基づいた治療

を徹底しています。

そして、

手に対するPRP治療を積極的に行っている数少ないクリニックの一つです。

これは非常に大きな差になります。

 

リンク:手指への再生医療

 

 

こんな方にPRPはおすすめ

・膝や手の痛みが続いている
・手術は避けたい
・繰り返す痛みに悩んでいる
・原因不明と言われた
・早期にしっかり治したい

このような方にはPRP治療は非常に有力な選択肢です。

 

 

まとめ

今回の研究から分かる最も重要な点は以下です。

PRPは初期の変形性関節症に対して、痛みと機能を確実に改善する治療である

そして、

早期に行うほど効果が高い

ということです。

痛みが長引いている方は、「様子を見る」ではなく、適切なタイミングで治療を選択することが重要です。

はせがわ整形外科運動器エコークリニックでは、エコーを用いた精密診断とPRP治療を組み合わせ、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。

「治らない痛み」に対して、新しい選択肢としてPRP治療を検討してみてください。

リンク:手指への再生医療