最新システマティックレビューが示す治療成績と、当院が大切にしていること
手根管症候群の手術には大きく分けて 「直視下手根管開放術(OCTR)」 と 「内視鏡手根管開放術(ECTR)」 の2種類があります。 どちらが良いのかは長年議論されてきましたが、2024年にCureus誌に掲載された最新のシステマティックレビューが、この疑問に質の高いエビデンスで答えています。

この記事では、その内容をわかりやすくまとめつつ、患者さんが術式を選ぶうえで本当に大切なポイントをお伝えします。
手根管症候群とは?
手根管症候群は、手首の「手根管」というトンネルの中で正中神経が圧迫されることで起こります。
指先のしびれ
夜間の痛み
物を落としやすい
ボタンが留めにくい
など、日常生活に大きな支障が出ることも少なくありません。
保存治療で改善しない場合、横手根靱帯を切離して神経の圧迫を解除する手術が選択肢となります。
最新レビューの概要
対象となったのは、2012〜2023年に発表された
RCT(ランダム化比較試験)7本
メタアナリシス4本 合計11研究です。
症例数は
ECTR:4,367例
OCTR:4,107例
フォロー期間は3〜24か月。 術後疼痛、握力回復、職場復帰、満足度、瘢痕痛、神経損傷などが比較されています。
研究が示した主な結果
1. 術後の痛み
ECTRは術後早期の痛みが少ない
6〜12か月以降は両者に大きな差はなし
2. 機能回復・握力
長期的にはほぼ同等
早期回復はECTRがやや優位
3. 職場復帰
ECTRは復帰が早い傾向 デスクワークや手作業の方には大きなメリットです。
4. 患者満足度
両者とも高い
傷が小さく痛みが少ないECTRを好む患者が多い
5. 合併症
全体の合併症率はほぼ同じ
ECTR:一過性の神経障害がやや多い(多くは3〜6か月で回復)
OCTR:瘢痕圧痛・ピラーペインが多い
6. 費用
ECTRは機器の関係で高コスト
医療機関の設備や術者の経験も影響します。
それぞれのメリット・デメリット
内視鏡手術(ECTR)
メリット
術後の痛みが少ない
早期の機能回復
職場復帰が早い
傷が小さく整容性が高い
デメリット
一過性神経障害のリスク
コストが高い
術者の熟練度が必要
直視下手術(OCTR)
メリット
技術的に安定している
神経損傷リスクがやや低い
コストが比較的低い
デメリット
傷の痛み・ピラーペインが出やすい
回復がややゆっくり
当院が大切にしていること
最新のエビデンスが示す通り、どちらの術式も安全で効果的です。 大切なのは「どちらが優れているか」ではなく、患者さんにとって何を優先したいかです。
早く仕事に復帰したい
傷を小さくしたい
コストを抑えたい
神経障害が心配
手術に慣れた医師に任せたい
患者さん一人ひとりの生活背景や希望は異なります。 当院では、術式のメリット・デメリットを丁寧に説明し、患者さんと一緒に最適な方法を選ぶことを大切にしています。
まとめ
2024年の最新システマティックレビューによれば、 内視鏡手術も直視下手術も、いずれも高い治療効果を持つことが示されています。
早期回復・整容性を重視 → 内視鏡手術が有利
コストや神経合併症リスクを重視 → 直視下手術が選択肢
手根管症候群の手術を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。 症状や生活スタイルに合わせて、あなたに最適な治療方法を一緒に考えます。





