CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、ケガや手術をきっかけに手足に強い痛みが続く難治性の痛みの病気です。 今回紹介するのは、世界的医学誌 New England Journal of Medicine(NEJM) に2025年に掲載された最新レビュー論文。この論文は、CRPSの原因、診断、治療、そして患者支援のポイントを総合的にまとめたものです。

この記事では、その内容を一般の方にもわかりやすく解説します。
CRPSとはどんな病気か?
90%はケガや手術がきっかけ
CRPSは、骨折や捻挫、手術などの比較的小さな外傷の後に発症することが多く、通常は受傷後すぐ〜1ヶ月以内に始まります。
痛みが「見た目の損傷」と合わない
CRPSの特徴は、
非常に強い痛み
腫れ・皮膚の色の変化・汗の異常・温度差
動かしにくさや筋力低下
などが組み合わさって現れること。
しかし、痛みの強さに比べて、組織の損傷が軽いことが多く、患者さんが「理解されにくい」原因にもなっています。
痛みの分類では「Nociplastic pain」に属する
CRPSは、
ケガによる痛み(侵害受容性)
神経損傷による痛み(神経障害性)
のどちらにも完全には当てはまらず、神経の働きが異常に敏感になることで起こる「Nociplastic pain」に分類されます。

CRPSは自然に良くなることも多い
論文によると、 約80%の患者は発症から18ヶ月以内に大きく改善します。
ただし、
痛みが強い
不安が強い
生活の支障が大きい
といった場合は、長期化しやすいことも示されています。
診断は「ブダペスト基準」で行う
CRPSの診断には、国際的に認められた ブダペスト基準 が使われます。
4つのカテゴリーで症状をチェック
感覚(痛みに敏感、触れただけで痛い)
血管(皮膚の色や温度の左右差)
発汗・むくみ
運動・皮膚や爪の変化
このうち、
症状が3カテゴリー以上に存在
診察で2カテゴリー以上に所見がある
という条件を満たすとCRPSと診断されます。
CRPSの原因は?最新研究が示すポイント
論文では、CRPSの原因として以下が挙げられています。
神経の過敏化(Nociplastic pain)
神経が「誤作動」し、痛み信号を過剰に出す状態。
自律神経の異常
血流や発汗の異常が起こる。
免疫の関与(自己抗体)
CRPS患者の血液中に、
IgM(初期)
IgG(慢性期) の自己抗体が見つかることがあり、動物実験ではこれがCRPS様の症状を引き起こすことが示されています。
→ CRPSは自己免疫的な側面を持つ可能性がある と論文は述べています。
治療の4本柱
論文では、CRPS治療は次の4つを組み合わせることが重要とされています。
教育(病気の理解)
患者が「なぜ痛いのか」を理解することが治療の第一歩。
痛みの緩和
NSAIDs、アセトアミノフェン
三環系抗うつ薬
SNRI(デュロキセチンなど)
交感神経ブロック
ビスホスホネート(初期に有効な可能性)
ステロイド(初期に短期間)
※オピオイドは効果が乏しく依存リスクが高いため推奨されない。
リハビリ(最重要)
CRPS特化のリハビリは「痛みを悪化させない優しいアプローチ」が基本。 動かさないと悪化するため、早期からの適切な運動が鍵。
心理的サポート
痛みと不安は相互に悪化するため、
認知行動療法
グループプログラム
などが有効。
18ヶ月を過ぎても痛みが続く場合
長期化したCRPSでは、
脊髄刺激装置(SCS)
DRG刺激
などの神経調節治療が選択肢になります。 ただし、効果は「50%の痛みが半分になる人が50%程度」とされ、万能ではありません。
予防できるのか?
興味深いことに、 ビタミンC(500mg/日を50日間)でCRPS発症リスクが半減した という研究が紹介されています。
骨折後の予防として注目されています。
まとめ
CRPSは、
原因が複雑
痛みが強い
見た目の損傷が少ない
ため、患者が誤解されやすい病気です。
しかし論文は、 「80%は自然に改善する」 という希望のあるデータを示しています。
そして、
早期のリハビリ
適切な薬物治療
心理的サポート
患者教育
が組み合わさることで、より良い回復が期待できます。
CRPS(複合性局所疼痛症候群)というのは難しい病気ですが、症状は辛いものです。はせがわ整形外科運動器エコークリニックではこのような難しい疾患にも「大阪市平野区の手外科」として取り組みます。難しい病気で苦しむ患者さんに専門家として徹底的に寄り添います。ひとりで抱えずに病気を我々に預けてみてくださいね。





