論文タイトル: 「Ultrasound-Guided Percutaneous Release for Trigger Finger: A Systematic Review and Meta-Analysis」
著者:Garcia HRP, Mund E, Romeiro P.
掲載雑誌:Int Orthop. 2024 Sep;48(9):2429-2437
論文リンク:https://link.springer.com/article/10.1007/s00264-024-06243-z

ばね指の新しい治療法、超音波ガイド下手術とは?
ばね指(Trigger Finger)は、指の腱が引っかかって動きにくくなる一般的な手の疾患です。指を曲げたり伸ばしたりするときに「カクン」と引っかかるような感覚があり、痛みを伴うこともあります。重症化すると手術が必要になることもありますが、最近注目されているのが「超音波ガイド下経皮的手術(US-guided percutaneous release)」です。
従来の手術法と比較してこの新しい治療法がどれほど優れているのかを示した研究です。
研究の概要
研究チームは、ばね指の治療法に関する過去の研究を徹底的に調査し、合計10件(ランダム化比較試験8件、観察研究2件)・555人の患者データを分析しました。比較対象は以下の3つの手術法です:
超音波ガイド下経皮的手術(US-guided)
盲目的経皮的手術(blind percutaneous)
開放手術(open surgery)
主な結果とポイント
分析の結果、超音波ガイド下手術は以下の点で他の方法よりも優れていることがわかりました:
術後の機能改善:DASHスコア(腕や手の障害を評価する指標)が有意に改善
回復の早さ:日常生活への復帰が平均11日以上早かった
鎮痛薬の中止が早い:痛み止めの服用期間が平均4日以上短縮
患者満足度の向上:他の方法よりも高い満足度を示した
一方で、痛みの評価(VASスコア)や指の動きの回復速度、手術の成功率には大きな差は見られませんでした。
なぜ超音波ガイドが有効なのか?
超音波を使うことで、医師は腱や周囲の組織をリアルタイムで確認しながら手術を行うことができます。これにより、より正確で安全な処置が可能となり、不要な組織損傷を避けることができます。その結果、回復が早く、痛みも少なく、患者の満足度が高まるのです。
まとめ
この研究は、ばね指の治療において超音波ガイド下経皮的手術が非常に有望な選択肢であることを示しています。従来の手術法と比べて、機能回復が早く、痛みも少なく、患者の満足度も高いという結果は、今後の治療方針に大きな影響を与える可能性があります。
ばね指で悩んでいる方や、手術を検討している方は、ぜひ当院へお越しください。

