ばね指とは
ばね指(弾発指)は、指を曲げる際に使う屈筋腱が腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネル状の組織で引っかかり、指の動きがスムーズにいかなくなる疾患です。指の付け根に痛みや腫れを感じたり、指を曲げた際に「カクッ」と引っかかるような症状が現れます。更年期以降の女性や、手を頻繁に使う職業の方、糖尿病患者に多く見られます。
ばね指の治療方法
初期のばね指には以下のような保存療法が行われます。
- 指の安静やストレッチ
- 消炎鎮痛剤の塗布
- テーピングや装具による固定
改善が見られない場合は、ステロイド注射を行います。ただし、糖尿病の方には効果が出にくく、複数回の注射によって腱断裂や皮膚の色素脱失などの副作用が報告されています。そのため、注射は最大でも3回までが推奨されており、再発を繰り返す場合は手術治療が選択されます。
新しい治療法|エコーガイド下腱鞘切開
従来の手術では皮膚を切開し、縫合・包帯固定が必要でしたが、当院では「ダブルガイド式腱鞘切開機」と「高精度エコー」を組み合わせた、低侵襲な日帰り手術を導入しています。
治療の流れ
- 局所麻酔を実施(極細針を使用し、痛みを最小限に)
- 小さな穴を2か所開け、エコーで確認しながら専用デバイスを挿入
- 腱や神経を傷つけないよう慎重に腱鞘のみを切開
麻酔が効いているため、手術中の痛みはほとんどありません。
術後のケア
- 手術翌日まで包帯固定
- 翌日に絆創膏へ変更
- 術後2日目から水洗い可能(ただし、汚水やプール・公衆浴場は1週間ほど控える)
術後の経過と注意点
皮膚はすぐに回復しますが、内部の腱鞘切開により、約1か月間は腫れぼったい感覚が残ることがあります。特に中指や糖尿病の方は腫れが長引く傾向があります。
術後の腫れを抑えるため、以下のことに注意していただいています
- 手を心臓より高く保つ
- 積極的な指の曲げ伸ばし運動
- 漢方薬の処方による炎症抑制
親指の手術について
親指は神経の走行が他の指と異なるため、エコーガイド下手術が適応できない場合があります。術前にエコーで神経の位置を確認し、安全性が確保できない場合は従来の手術法に切り替えることがあります。
まとめ
ばね指でお悩みの方へ、痛みが少なく、日常生活への影響が少ない「エコーガイド下腱鞘切開」は新しい選択肢です。保存療法や注射で改善しない場合は、ぜひ当院の低侵襲手術をご検討ください。
下記動画をチェックしてみてください!!